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関節の痛み(腰、膝、肩、首など)

ケーススタディ|コロナ後遺症

◇症状・経緯

2022年と2023年に1回ずつ、計2回コロナに感染。1回目の後ブレインフォグとなった。2023年、2回目に感染後、ブレインフォグに加えて動悸、不眠、吐き気、食欲不振・胃もたれ胃痛などとなった。またその過程で手足の脱力感や痺れ、痛みも出て眠れなくなる。不眠から疲労感も強くなり、不安から動悸や不眠などの症状も悪化。出勤も辛く仕事を休むことも出て来ていました。

また、不安からネットでコロナ後遺症について調べるようになり、更に不安になって症状がどんどん悪化。でもネットで調べるのを止められない。

元々数年前から、動悸や不眠、聴覚過敏が生理前に悪化傾向で、生理前に体調が悪化すると精神的に落ち込む、イライラする、などの症状もあり、当院を受診。初めのうちは週に1回程度定期的に受診、改善していき、コロナ感染前は体調悪化時に鍼施術をしていた。またコロナ禍で仕事が忙しくなり、職場のパワハラや離職者が多いこと等に対するストレスなどから元々の症状が悪化傾向であった。ストレス解消は食事で、生理前などストレス食いしても胃腸に問題が出るタイプではなかった。この頃の施術では、緊張と熱を取り去る施術で改善していました。

◇見立て・施術

1回目の感染後のブレインフォグに関しては、それまで(動悸や不眠・聴覚過敏に対する施術)と同様の施術で改善しました。(ちなみに、コロナ感染後のブレインフォグに関しては、数人の患者さんがみえましたが、当治療院におみえの患者様はほぼ全員余熱が原因で、かつ元々熱体質の方達でした。)

2回目のコロナ感染後の症状に関しては、動悸や不眠、不安感、吐き気や胃痛などについては緊張と熱に対する施術でその都度改善しましたが、不安からすぐに悪化。そうこうする内に手足の脱力感・痺れ痛みが出現し、悪化していいきましたが、こちらの症状に関しては、胸郭出口症候群椎間板性筋筋膜性の腰痛が原因と判断してご説明したところ、そのサイトを調べてコロナ後遺症でなく胸郭出口症候群と納得されたようです。安心した後から劇的に症状が好転し、更に緊張を取る鍼もよく効くようになりました(不安が強い時は、一旦緩むもののまたすぐ緊張が元に戻る)。ご本人も、不安やストレスが身体に与える影響の怖さを改めて実感したようです。

上肢と下肢に関しては、それぞれ別々に適切な施術をしたところ、少しずつ改善して行きました。

◇考察

●全く別の原因による三つの症状を、不安により「コロナ後遺症」と誤って判断してしまう

コロナ感染後、①元々あった動悸や不眠が強く出て、また不安と仕事の忙しさから②肩こりが悪化、更に前かがみの姿勢による③腰に与えた負荷のみっつが、「たまたま同時に出現」してしまっていました。

①コロナで仕事が忙しく、そのストレスから元々の主訴に加えて肩や首のコリも悪化傾向であったところにコロナ感染し、治癒後もコロナ感染の余熱で元々あった動悸や不眠、聴覚過敏などが悪化。

②手の痺れや脱力感に関しては、元々肩こり首こりが強く、デスクワークと仕事のストレス、コロナ感染のストレスから更に筋緊張が増して、胸郭出口症候群を発症。手の脱力感などから不安になり不安から更に緊張して肩首がこる、という悪循環となっていました。

また手の脱力感や痺れが出始めた頃に、数週間「Bスポット療法」を受けに週3回耳鼻咽喉科に通院されていたのですが、余りの痛さに緊張が増し、また順番を待っている患者さん達の具合が悪そうなため不安感も増したそうです。その時期に、更に肩こり等が悪化していました。Bスポット療法は効果があることも多いと思うのですが、痛みに敏感な方やHSP傾向の方だと、痛みによる緊張や不安と効果が相殺してしまうこともあるのかなと思いました。

③足の痺れに関しては、仕事で前かがみで物を移動する作業が多い時期で、そのため腰を痛めたようです。

慢性化した複雑な症状は、分解してアプローチをすることが大切。その為の、詳細な問診と、身体に出ているサインの分析。

それらの症状が、余りにもコロナ感染後遺症と酷似していた為、最終的に「慢性疲労症候群」的な「全く動けない」「寝たきり」などの症状になってしまうのではないかと不安になったそうです。そして不安から動悸・息切れ・不眠・胃痛などとなり、眠れない事による疲労感と、不安からくる緊張で仕事に行けないほど「酷い倦怠感」となり動けなくなっていたのではないかと推察しています。それぞれ別の病理であることを納得して腹落ちしたら、安心して不眠も改善、胃腸症状は殆ど無くなり、食べられるようになったことで元気になっていきましたし、精神的にも前向きになって仕事にいけなほどしんどいという事はなくなっていきました。

ご本人が「コロナ後遺症」と思い込んでしまっていた症状に対して、詳細に症状をお聞きしていき、分解してそれぞれ個別のアプローチで改善していった訳ですが、これはコロナ後遺症に限りません。

特に慢性化した症状、長期化しているお悩みは、今回のように複合的なことも多いですが、それを分解していくのも、施術家の役目。当治療院は全く別の得意分野をもつ治療家が二人で運営しているため、その分解を分担出来る。それも強みかなと思います。

最後に、コロナ後遺症についてもブログを書いておりますのでご参照下さい。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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