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女性特有の症状

ケーススタディ|子宮筋腫・腺筋症合併の痛み

◇症状・経緯

40代前半の方。生理痛が酷く婦人科を受診したところ筋腫と腺筋症を指摘された。腺筋症の範囲が広いため筋腫の様な部分切除は出来ないという事で、まずは痛み止めを試し、効果が見られない場合は全摘するしかないと言われたとのこと。

50代でしたら閉経を待つ場合もありますが、まだ生理が続くことが想定されるため、痛み止めも効かないし、全摘はしたくないということで当院へいらっしゃいました。

◇見立て

痛みの出る時期や痛みの性質などを詳しくお聞きしたところ、生理前や生理1日目2日目などよりも、生理後半から生理終了後もしばらく痛みが継続するとのこと。年齢的に生理の間の期間が延びて不定期になったり経血の量が減ってきていたそうです。また、家事育児にお仕事も頑張ってらっしゃる頑張り屋さんで、体力は元々ある方だそうです。

以上の問診情報で、東洋医学的には「血虚」を想定しますが、実際脈や体表観察上の穴所の反応も血虚所見が見られたため、筋腫なので瘀血はありますが、痛みを発生している主な原因は血虚と見立てて、血虚と瘀血に対して施術を開始しました。

◇施術・経過

週1回の施術で痛みは減っていき、施術中その場で痛みが軽減することもありましたが、週1回の施術を3ヶ月は継続して頂き、痛みが軽減してから施術の回数を減らしていきました。施術と平行して、血を補う食事にも心がけて頂き、また補血作用のある漢方薬などもご紹介して試してみて頂きました。

◇考察

女性は生理で毎月経血として血を失うため、血虚、西洋医学的に分りやすく言うと貧血(※)になりやすく、そのため昔から女性に対する漢方薬には血を補う生薬が配合されている場合が多いです。

その上40代を過ぎると「老化」の一環で男女問わず身体の水分が減って乾いていき、しわが出来たり、肌がかさかさになったり、髪がぱさついたり細くなったり、目がかすんで見えにくくなったりと言った「血虚症状(※1)」が出てくるわけです。

またこの患者さんは、家事育児仕事と三足のわらじを履き、睡眠時間が短い状態が長期的に継続していたため、更に血虚となった。東洋医学的に、夜間太陽が沈んでいる間に適切な時間、質の良い睡眠を取ることが、身体を潤わせると考えているためです。良い睡眠を取ると、乾いていた目や口が潤い肌がしっとりする、という体験は、誰もがしているのではないでしょうか。

というわけで、40代前半、更年期入り口のこの患者さんにとって、年齢と生活習慣のダブルパンチで「貧血」となり、経血が排出されると更に血が失われより「血虚」となりますから、元々血虚傾向であったこの患者さんの場合、生理後半に痛みが出ていたのだと思います。

何故「血虚」になると痛みが出るのか?

血虚となると組織が「ビーフジャーキー」の様になります。カサカサでうまく動けない感じ。それが筋肉に起きると肩こりなどが酷くなりますし、胃で起こると食欲不振や胃もたれになりますし、腸で起きると便秘になったりしますが、それが子宮で起きると、経血が減ったり痛みが出たりする訳です。

上記の通り、東洋医学的には生理にで経血が排出されるとより血虚になる、と考えます。反対に排卵から生理までの間は子宮内膜に血が集り正気も充実しますから、その時に痛むのであれば瘀血や気滞(緊張)が原因と考えます。

その患者さんの痛みや不快感がどの様な理由で起きているのか?その判断をするには色々な情報が必要になってきますが、生理に関するものはかなり重要です。ご自分の生理に関してもよく観察してみると、色々なことがみえてくるかも知れませんよ。

生理痛や生理にまつわる症状、更年期症状などでお困りの方は、お近くの鍼灸院にいってみるのも手だと思います。調布にお住まいの方は是非春宵堂治療院にお越し下さい。

(※)東洋医学的な血虚と西洋医学的な貧血は、重なることもあるし重ならないこともあります。また貧血でなくてもフェリチン(貯蔵鉄)が少ない事が、東洋医学的な血虚と重なることもあります。

(※1)血虚症状として上記で挙げたものは、原因が血虚でなくても起こります。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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