◆症状・経緯
40代女性。元々ストレスがかかると胃腸症状が出やすかったが、数日で収まっていた。しかし、食後の胃の膨満感から酷いと吐き気が生じ、また胸苦しさも出るようになってきて数か月治まらず、5キロほど痩せてしまったので病院に行ったところ、検査の結果どこにも問題はなく「機能性ディスペプシア」と診断を受けた。また数年前酷いストレスがあった時に逆流性食道炎と診断されたことがあるとのこと。ご紹介でおみえになりました。
◆機能性ディスペプシアとは?
胃の不快感や胃もたれ、胃むかつき・心窩部の痛みなど、胃の症状があるにもかかわらず、検査の結果異常がない場合に診断されるようです。
>> NHK健康チャンネル|機能性ディスペプシア 原因はストレス、自律神経の乱れ、胃の働きの異常
◆見立てと施術
詳しい問診と、脈や全身のツボなどを確認したところ、原因は胃腸の弱りというよりも、ストレスによる緊張が原因と判断して、緊張を取るツボを選択して施術しました。
直後効果として、ご本人の自覚はありませんでしたが、脈の緊張が緩み、お腹の緊張も取れていました。初診後主訴の辛さは半減し、施術3回で終了しました。
◆考察
この方の場合、来院されたのが主訴発症からそんなに時間がたっていなかったこと、胃腸が弱っていなかったことから、緊張を取るだけで主訴が改善し、数回の施術で終了出来ました。
また、逆説的ですが、食欲不振があると、食べないので胃腸の状態も改善しやすいです。この方も1か月で体重が落ちていましたが、食欲不振があり食べないことが増えていました。それが逆に良かったと思っています。
膨満感や腹痛、吐き気があると、空腹感が出にくく、食べたくても食べられないが食事の時間が来て、無理に食べると症状が悪化。更に胃がもたれて次の食事の時まで消化できず、まだお腹が空いていないのに食べて・・・という悪循環に陥りやすいです。
この時、食欲不振となり食べられないので食べない人、胃としては食べられないけど食欲があるし食べたいので食べる人、痩せたくなくて無理に食べる人、など、様々です。
◆機能性ディスペプシアのきっかけはストレスと暴飲暴食
機能性ディスペプシアは、①ストレスや②暴飲暴食がきっかけで発症する人が多いようです。
ピロリ菌が原因の事もありますが、その場合は病院で駆除してもらいましょう。
①ストレス
ストレスは胃の働きを抑えて胃のキャパシティーが減ってしまいます。そこに普段通りの食事をするとキャパオーバーとなって消化不良となりやすく、それを繰り返すうちに胃が疲れてしまって胃の機能が落ちてしまうことが多いのです。
②暴飲暴食
またストレスは食欲を増してしまう面もあります。東洋医学的にストレスは体を緊張させますが、食べることはその緊張を緩ませる働きがあるのです。
上記の暴飲暴食は、いわゆるストレス食い、というものです。胃も体も栄養としては要求していないのに、ストレスで暴走した脳が、食べ物を求めてしまう。それがストレス食いですが、それを続けても胃腸症状が出ないのは胃腸が強い人。でも全ての人が胃腸が強い訳ではないので、ストレス食いを継続していると胃腸に負担がかかり、機能性ディスペプシアや逆流性食道炎などを発症してしまうというわけです。
◆機能性ディスペプシアの対処法とは
膨満感や胃もたれ、吐き気などの症状が出る機能性ディスペプシアは、胃としては「ちょっと休ませて」というサインといえます。
自律神経についてのブログでいうと、ずっとライオンに追いかけられている状態で胃の機能が落ちているのに、一日三回きっちり食事をしている状態ですから、やはり胃は疲れているでしょう。
胃が疲れていて食べ物を拒否しているのに、食いしん坊だったり、ストレスで、「脳」で食事をしている人、痩せるのが怖くて食事をせずにいられない人は、胃を休ませることができません。それが、改善の妨げになってしまっていることもあります。
この時、自分でできる有効なことは「空腹になるまで食事をしない」ことと、「運動をすること」。
食事をしないことは胃を休ませますし、運動は胃腸の働きを活発にします。
東洋医学的には、胃腸を臼に例え、臼を動かす動力を四肢と捉えており、四肢を動かすことが消化力につながる、と考えているのです(それ以外にも胃腸と関係するものはありますが)。だから、運動は消化に良いのです。
でも、胃の停滞を取ることは自力ではなかなか難しい。また、食べられないことで体力が落ちていたり、緊張が強いと運動もできないこともあります。だからお薬に頼る。胃腸症状で悩んでいる人の多さは、世に出ている胃腸のお薬、胃もたれのお薬の種類や量を見れば明らかでしょう。
胃腸薬を飲んで改善するならば良し。もしそれでも苦しい症状が改善しない場合は、鍼も選択肢の一つです。調布にお住まいの方は、春宵堂治療院へお越しください。