腰痛にもいろいろある!?
「腰痛の85%が原因不明である(*1)」
「腰痛の75%で診断が可能(*2)」
等といろんな事が言われていますが、実際どうなのでしょうか?
実はこれらには根拠があります。(*1)は、「腰痛診療ガイドライン2012」のものであり、(*2)は、「腰痛診療ガイドライン2019」のものなのです。7年の間に、随分と医療的科学的知見が進んだようです。
2012年の段階で原因の分かる腰痛症は、整形外科的に画像診断できるもの(ヘルニアや骨折、脊柱管狭窄症など)に加えて、内科的な要因(癌や泌尿器科疾患など)の腰痛であり、それが腰痛全体の2割ほどであり、他の8割は画像にも映らないし内科的要因も無い所謂「原因不明」と言われる腰痛でした。
しかし、そのうち5割ほどの原因が特定され始めて、「2019年腰痛診療ガイドライン」にあるように、全体の7割の原因が明らかになってきたのです。
その根拠になったのが2015年に山口県の整形外科医院で行われた「山口県腰痛study」という調査です。整形外科医が、元々原因不明とされてきた腰痛患者さんに対して丁寧な問診と診察を行ったところ、そのうちの72%に対して原因が特定できた、というものです。結局原因不明とされたものは22%でした。
近年明らかになってきた腰痛分類
以前から明らかだったものも含め、まず大まかに分類できるため、腰痛の大まかな分類と、それに対して当院がどのようにアプローチしているかを簡単にご紹介したいと思います。当院では、カウンセリングと動作分析をして、それぞれのどの分類に当たるかを鑑別し、のちに施術します。
・いつ痛いのか?(寝起き、動き始め、夕方以降、寝返りを打つ時等)
・どのような動きで痛みが出るのか(前屈・後屈・側屈・回旋)?
・どの様な時に痛みが出るのか(歩行時、座位、動き出し、寝ている時等)?
・どの様にすれば痛みが軽減するのか?
それらが分かれば、痛みの原因が特定できるので、その局所に施術すれば、負担なく痛みを軽減することができるのです。
椎間関節性
椎間関節とは背骨を構成する骨の関節のことで、それがずれていることによって生じる腰痛です。ずれている関節に対して手技的に施術すれば、その場で痛みが軽減することも多く、またこのタイプの腰痛が一番多いです。
仙腸関節性
胡坐をかくと左右の足の高さが違う、鼠径部が痛む、長い時間座っていると辛い、などの症状は、仙腸関節が関係していることが多いです。この場合は、ずれている方の関節を矯正するとその場ですぐに変化がみられます。 1.の椎間関節とこの仙腸関節のずれが腰痛の6割ほどを占める為、初回にこの二つの手技をすることにより、これで改善しなければ消去法的に以下のその他の原因であることが鑑別できます。
筋筋膜性
筋肉が硬くなって起こる腰痛です。浅い部分の筋肉の場合はマッサージや手技でも効果が出ますが、深層筋が硬くなっている場合は、鍼をした方が効果が高い事が多いです。
椎間板性(ヘルニア等)
普段の姿勢や動きによって椎間板に負荷がかかり、脱出したものが一般的なヘルニアですが、近年その前段階でも、椎間板に亀裂ができたり、椎間板周辺の筋肉に負担がかかることによって痛みが出現するということが分かってきました。
どちらにしても、椎間板にかかる負荷を軽減すると痛みも軽減する場合もあるため、当院ではより良い姿勢や動きの改善を指導いたします。椎間板に直接負荷をかけている筋肉を緩める施術も場合によっては行います。
脊柱管狭窄症
脊髄神経は、ホースのような管の中に脊髄液と共に収まっていますが、その管が何らかの影響で細くなり、脊髄神経を圧迫することで痛みが出ている状態です。
脊柱管狭窄症は中高年に発症することが多く、特徴は
①歩行時に痛みが出る為度々休まなければならない「間歇性歩行」
②背骨を後ろに反らす(腰椎前弯が増強する)と下肢に痺れが出る
の二つがあります。当院では、腰椎前弯の増強因子を除去する事が施術の中心となります。
骨折(圧迫骨折など)
こちらは当院での施術の対象外となります。
以上のように、当院では、腰痛で来院された患者様の原因を特定して施術します。3回から多くて5回で全く変化が見られない場合は、当院の知識・技術では対応できないため、お断りさせて頂いております。