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東洋医学や鍼灸について

冷えは万病のもと!?①

◆冷え性とは!?

巷では冷えは良くないので温めよう!ということで、温めるグッズ(腹巻、ゆたんぽ、レッグウォーマーなど)、温める食材(生姜紅茶や白湯)が人気の様です。

当院にみえる方に多い主訴の一つが「冷え性」で、夏でも暖かいものを飲むように心がけていたり、厚着を心がけている方が多いです。

しかし、詳しく問診を取っていくと、のぼせるのでお風呂に長く入れない、アイスを毎日食べている、飲み会になるとビールを中ジョッキで飲んだ後にハイボールや酎ハイを飲んでいる、という事が分かってくる場合も。

◇東洋医学的に冷えとは?

東洋医学的には冷えは、①「陽気の不足」か②「外界の寒さ(寒邪)によって侵襲されている状態」と捉えます。

①は単純に生命力の弱った状態で、胃腸が冷えていたら消化力が落ちたり下痢になったりしますし、泌尿器が冷えると頻尿になったり逆に小水が出にくくなったり、だるくなったり疲れやすくなったりします。この場合は生命力を補う施術、漢方薬の処方などがされると調子が戻るでしょう。元々虚弱体質だったり、疲労が蓄積していたり、高齢だったりする場合に多いです。

②は寒くて風邪をひいたり、冷たいものを食べて胃腸がおかしくなったりします。この場合は、「寒邪」を強力に散じる施術、漢方薬の処方がされると調子が戻るでしょう。また、環境要因に影響を受けるのはその人の体にも問題がある場合も多いので、その時疲れていて生命力が弱っていることも大いにあると思います(元気な人は風邪をひきにくいですから)。これは身体にとっては緊急事態です。汗をかいて冷蔵庫に入ったり、薄着で出かけて、冷房がギンギンにかかっている室内でかき氷を食べたり、そんな場面を想像します。

◆冷えの裏に隠れた緊張と熱

しかし、特に自律神経失調気味の患者さんに多いのが③第三の冷えです。

症状として挙げられるのは、手足の冷え。これをもって「冷え性」と自己認識している方が結構多いです。そしてまた、こういうタイプは、飲み会でキンキンに冷えたビールを結構飲んでいるのです。また冬でもアイスコーヒーを飲めるなど。これはどういう状態なのでしょうか?

 東洋医学的には、これは気滞が強く四肢末端に陽気が届かない状態と捉えます。簡単に言うと、緊張が強すぎて、末端の毛細血管まで血流が行かないのです。その分血液が内臓部位にはたっぷりありますから、内臓は冷えていない。だから飲食物は冷たくても平気なのです。むしろ冷やしたい欲求がある場合もあります。

また、緊張が強くて「気滞」となっているという事は、つまり常に何らかのストレスにさらされている訳です。東洋医学的にこういう場合は「化熱」して熱をこもらせる場合も多いですから、内側の熱が盛んになり、熱の症状が出てきます。

顔が赤くて汗をかいているのに手足が冷えていたり、酷くなるとそわそわしたり動悸がしたり、イライラしたり漠然と不安にかられたりします。また睡眠障害が出たり、お風呂でのぼせたり、ひどいとシャワーでものぼせる場合もあります。 

例えばパニック障害などもここに含まれることが多いです。ソワソワして不安でじっとしていられないが手足は氷のように冷たい。熱が胸部に偏り、末端に全く血流が行かなくなってしまった状況と言えるでしょう。

◇東洋医学的なアプローチ

第三の冷えの場合、原因は緊張からくる「気滞」ですから、緊張を緩める施術をします。そうすると、直後効果として手足が温まったりそわそわが収まったり、長期的には睡眠障害が改善したりします。また、こういう場合に主訴が冷えだからと言って温める施術をしてしまうと、内側の熱を増長させてしまって熱の症状が悪化する場合もあるのです。

まずは冷えの原因が何なのか?それを施術前のカウンセリングと体表観察で探ることが必要です。冷えの症状だからと安易に、例えばお灸をしてはいけないのです。

ただ、足にお灸をすると、頭や胸辺りに偏った熱が下に降りて、症状が改善する事もあるので、それはケースバイケース。まずはどこに冷えがあるのか、観察してみることをお勧めします。

次回は「寒気」についてのお話をしようと思います。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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