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内臓系の症状

ケーススタディ|慢性的な皮膚の痒み

◇症状・経緯

40代の男性。20歳頃から、年に一回全身に痒みが出ていたが、30代後半からほぼ年中全身に痒みが出るようになり、春のみ悪化していた。昨年コロナ禍に入ってからは痒みが悪化傾向にあり、この春に入り仕事に集中できないほどの痒みになってきている。西洋薬は効果無く、また、コロナ禍以降完全にリモートワークとなり、通勤で歩いていたのが殆ど歩かなくなり、運動不足となっている。それに伴い体重増加。仕事でも家庭でもストレスは無い、とのこと。

風呂で痒みは悪化しないが、タオルなどで拭くと、機械刺激で痒みが増し、掻きむしってしまう。アルコールを摂取しても悪化せず。

◇見立て

30代後半から、慢性的な痒みに移行した原因について、ご本人的にはストレスも無く原因は不明とのことなのですが、年齢的に部下が増え責任のある立場になったりしてプレッシャーが増えたのでは無いかと感じました。またコロナ禍以降は、リモートワークによる運動不足と体重増加により、滞りがきつくなり、また発散も出来ず熱と化して、春の陽気の上昇により更に加熱して痒みが酷くなったと判断。滞りを取りつつ熱を冷ますツボを選択しました。またカウンセリングの中で、週に一回、週末に運動をするとスッキリして痒みも楽な気がする、とのことでした。

◇施術

初回の施術以降、痒みは10→2となり、夕方から痒みが増す様になったとのこと。仕事には集中できる程度の痒みにまで改善したが、どうせなら完全に痒みを無くしたいとのことで週に一度の頻度で来院。基本的な施術の方針は変えず、ツボを変えるなどして、夕方以降に悪化する、という事も減ってきました。

◇考察

当院では、カウンセリングにあたって、幼少期からどんな様子だったかお聞きし、また身体全体のツボや舌、脈などを拝見しますが、この方の場合は元々体質的に熱に偏りやすく、運動や発散などで熱を解消することが必要なのに、加齢とコロナ禍による運動不足や体重増加により、より熱に偏って痒みが増悪したものだと思います。

風呂やアルコールは、身体に熱を加える行為なのに、この方の場合悪化しなかったのは、熱も加わるが滞りも解消するので、プラスマイナス0、という事になったのでは、と思いますし、機械刺激で悪化するのは、掻くことで意識がその部位に集中してしまいますが、意識が集中すると余計に気が滞り、熱と化します。その為余計に痒みが増したのだと思います。

また、施術にあたって簡単に施術の方針をご説明しますが、「熱を冷ましていきます」というと「では冷たい水を飲めば良いのか」と思われる方もいらっしゃいます。世の中にも「一日2リットル飲んで健康に!」みたいな事を言う人もいますが、それはその人の健康法であって誰にでも当てはまるわけではありません(胃に熱があれば冷たいものをごくごく飲みたがりますが)。この方の場合も、飲みたい訳でもないのに水を沢山飲んだせいで逆に具合が悪くなってしまいました。ご説明をちゃんとしないといけないと反省した次第です。

熱を冷ます為に自分で出来る有効な手段は、元気な人の場合はほぼ運動です(元気でない場合は悪化する場合もあるので要注意)。仕事や家事で運動の時間が取れないという場合は、鍼灸も一つの選択肢だと思います。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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