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女性特有の症状

東洋医学的に不妊とは?②~腎とは何か~

前回のブログ【東洋医学的に不妊とは?①~AMHが低い~】の続きです

前回のブログでAMHについてお話ししましたが、今回は妊娠・不妊という現象そのものを東洋医学的にどう捉えているのかのお話です。

腎臓がとても大事!

東洋医学的に、妊娠含めた「生殖」そのものは「腎臓」が主(つかさど)っている、と捉えます。

これはいわゆる血液を濾して尿を作る「腎臓」ではありません。東洋医学的には、そういう臓器としての働きだけでなく、下半身の強さや体力の強弱、生殖能力や老化についても腎臓が主っている、としているのです。

ですので、例えば100歳で100メートル走っているおじいさん、筋トレでムキムキのおじいさん、コロナから自力で回復したおばあさん、などのニュースを見ると「腎が強いんだな」と思います。

生殖でいうと、70代で子をさずかったチャップリンやロバート・デ・ニーロ、歌舞伎役者の故中村富十郎も「腎が強いんだね」となりますし、40代で出産したなどという有名人のニュースを見ても「腎が強いんだね」となります。

逆に、早期閉経などの場合も「腎が弱っていた」と判断します。
また、私のように小さいころから虚弱で、一年に何回も風邪をひいたりしていた人には「腎が弱かったんだね」となります。
そして、私のように元々腎が弱いタイプの人がムキムキおじいさんのようになれるか?というと・・・なかなか難しいです。かなりの努力が必要でしょう。

それについてはまた別のところで、体質改善について書こうと思います。

不妊治療で多い「問題」

①ストレスによる肝臓の緊張

以上のことから、「不妊症の人は腎が弱いんだな」と思うかもしれませんが、そうではありません。
実は、ストレスが悪さをしていることが多いのです。

ストレスは体を緊張させますが、その結果、生理が遅れたり、逆に早くなったり。
また生理痛やPMSが酷くなったりした経験は多くの人が持っています。

つまりストレスによる緊張が、子宮や卵巣に大きく影響を与えている、というわけです。
ちなみに、東洋学的には、ストレスは肝臓と関係している、と考えます。

具体的には、ストレスによる緊張によって卵巣や子宮の働きが停滞して、排卵しなかったり、子宮内膜が薄くなったり、瘀血(おけつ)と言ってドロドロになっていたり、卵巣が腫れたりしてしまう。

また、周期的な問題で、排卵後は体が緊張しがちです。そのため、生理前は肩が凝ったり頭痛がしたり、めまいや不眠、イライラや気分の落ち込みなど所謂PMSが起こりますが、これも緊張によるものなのです。

つまりPMSが酷いということは緊張が強いので、PMSを軽くする施術が子宮環境を良くすることに繋がっていきます

そもそも不妊治療がストレスになりますから…やはり緊張を取る施術は必要になってくると思います。

②ホルモン補充による腎の弱りや肝の緊張

また、別の問題として、ホルモン補充療法で排卵を促したり着床の準備をしている場合、ホルモン補充中に体調が悪くなる方もいらっしゃいます。

これは、ホルモン補充の結果、緊張が強くなったり、逆に弱っていたりするからです。これも、その人それぞれの体調や体質、その時の体力などに左右されているようです。

実際、ホルモン補充を何回か継続していくうちに、初めのうちは卵が取れていたが段々数が減って質が悪くなっていった、という方もいます。そういう方を東洋医学的に問診したり全身のツボなどを観察してみると、たいていの場合弱ってしまっています。でも単に弱っているだけではなくて、周期的に緊張が酷くもなるので、その都度、その状態に合わせた施術をすることで、いい卵が取れるようになったり、うまく着床したりするようになります。

③運動不足などによって腎臓が弱っている

これは、元々虚弱、というだけでなく、運動不足によるものも多いです。
元々学生時代に結構運動をしていたのに大人になって全く運動をしなくなった、という方でも、腎が弱っていることがあります。そういう場合は、運動をすることで腎を強化できますし、それが妊娠につながることも多いのです。

また虚弱で元々腎が弱くても、運動をすることで腎が強化されることも多いです。

何が問題かをハッキリさせて施術する。

腎臓が弱いのか、ストレスのせいで肝臓が緊張しているのか?排卵前か排卵後か?ホルモン補充中か?腎の弱りや肝の緊張が心や胃腸に影響していることもあります。それを詳細な問診や体全体のツボの反応を見て、判断して、施術するわけです。

緊張を緩めたり弱っていたら補って強化する、そういった施術を繰り返すことで、良い卵が取れたり、妊娠に繋がっていきます。

まずは、患者様がどういう体質でどういう問題を抱えているのか、それを把握することから、妊活だけでなく、全ての施術が始まります

妊活がうまくいかなくて鍼治療をしてみようかな、と思っている方は、ぜひお近くの鍼灸院の門を叩いてみて下さい。調布にお住まいの方は、ぜひ春宵堂治療院へお越しください。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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