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東洋医学や鍼灸について

咳喘息についての東洋医学的考察②

東洋医学的な「咳」の解釈(風邪の治りかけの場合)

①風邪による熱が余熱として肺や喉に残っている場合

肺や気管支、喉に残った余熱によりその部分が乾燥しますが、肺は潤いを好むため、乾燥してしまうと機能が落ちます。また、熱は上のベクトルを生むため、「吸い込む」↓肺の機能と逆のベクトル↑が生じて「咳」となります。

この場合、反応の出ているツボで熱を取る様に鍼をすると、喉が潤い、イガイガが取れて咳が出にくくなります。

②喉や気管支、肺が乾燥してしまっている場合

発熱により汗を沢山かいたり、元々乾燥気味(陰虚や血虚の傾向)の体質の場合、風邪の後いつもよりその傾向が強まり、肺は潤いを好むため、乾燥して肺の機能が落ち、咳が出ます。

この場合は潤す様に鍼をすると、喉が潤い、イガイガが取れて咳が出にくくなります。

③ストレスによる場合

例えばシーンとしている静かな教室や静かな電車やバスの中など、「ここで咳が出ると困る」と思うと余計に喉がイガイガして咳が出る、という訴えがよくあります。

これは「咳が出ると困る!」という緊張(=ストレス)が熱となり、上記二つ①②の原因を助長してしまうためです。そのため余計に咳が出るわけです。

またストレスは東洋医学的には「気鬱」となりますが、これは上のベクトル↑を生みやすい為、肺の「吸う機能」↓を妨げます。ですので緊張する局面で、風邪で無くても呼吸が浅くなったり、酷いと咳になることは多く、私も緊張すると空咳が出ることがあります。

④まだ風邪が治っていない場合

まれに、まだ風邪が残っている場合もあります。この場合は風邪の施術をすると喉のイガイガが取れて、咳が出にくくなります。

臨床的には①+③や②+③が多い印象です。②+④も見られます。

特徴的な症状

・喋っているうちに喉がイガイガしてきて咳が出る。なので長時間話すのが辛い。
→話している時、気道を空気が通り続けます。その為次第に気道が乾燥して、イガイガしてきます。また話す時の息のベクトルが上向きで、咳と同じベクトルですので咳を誘発している部分があると思います。

・1回咳が出始めると止まらない
→③に多い症状です。ストレスにより緊張すると熱化しますが、熱は上のベクトルが強くなるため止まりにくくなります。①②共に③を伴っている場合はこういう症状になることが多いです。

・出ると困るなと思うと余計にイガイガする
→同上

・疲れるとイガイガしてくる
→肉体疲労によりより消耗して乾くと、喉が乾燥してイガイガしてきます①②。精神疲労により緊張が強まっても、熱化して上のベクトルが生じるため咳が出ます③。

・横になると余計に出る
→横になると、上へのベクトル(→)が重力の影響を受けず上がりやすくなるようです。この場合上半身を起こすと出にくくなったりします。 

等の訴えが多いです。が、それぞれの発生原因は上記の通りと考えられます。痰がどんどん出てくる、というタイプの咳喘息はまだ見たことが無いのですが、どちらかというと熱や乾燥が取れてくると気道が潤うわけで、そうなると段々痰が出始め、痰が出ると咳が止まり、咳も痰も段々出にくくなる場合が多いようです。

以上、臨床的に多い例を参考に分析してみました。

最後に、西洋医学的に「気管支拡張症」と診断されていたり、元々「喘息」をお持ちの場合も、施術内容はそんなに変わりません。東洋医学では病名を参考にしつつ、病態(症状や、身体全体を触診などして得られる情報)そのものを施術対象とするためです。咳の原因、痰の原因、喉の痛みの「原因」にアプローチするのであって、「咳喘息」「喘息」「気管支拡張症」にアプローチするわけではないためです。

これからも研究しつつ、施術能力を高めていきたいと思います。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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