春宵堂治療院 2025年12月の休業日のお知らせです。12月1日から3日まで休業。年末は通常通り営業します。

自律神経系(不眠・疲労感・気分障害・胃腸障害)

ケーススタディ|過敏性腸症候群

◇主訴・経過

大学受験を控えた3年生女子。一学期に酷い下痢嘔吐で1週間ほど学校を休む。病院では細菌などの感染もなく、ストレス性の過敏性腸症候群に嘔吐が加わったものだろうとの診断。整腸剤など投薬治療を受けるも完全には改善せず、何となく下痢や吐き気が継続している。夏に脱水傾向になりやすく体力も落ち、勉強に対する集中力も悪くなっているのでどうにかならないかと来院。また、痩せてしまったことも気にされていました。
発症前後は、受験のため部活も終わったタイミングで、その頃より全体的に体調が悪化傾向とのこと。

◇観察

まだ高校生で2年生までしっかり運動をしてきていたこともあり、体力はあり弱っているところは見られず、むしろ全体的に緊張が強い。特に腹部はみぞおちから下腹部まで緊張が強く全然ゆるみがない。この感じだと生理痛も強い場合が多いですが、やはり部活をやめた辺りから生理痛が強くなってきていました。

◇施術

緊張を緩める施術をしました。施術前は、腹部の触診でかなりくすぐったそうでしたが、施術後に確認でお腹を触ったところ、全くくすぐったくなくてびっくりされていました。緊張が強いと過敏になる方は多く、聴覚過敏やまぶしいなどの症状が出る場合もありますが、お腹周辺がくすぐったくなる場合もあります。その場合も、緊張が取れるとくすぐったさが無くなることが多い。この時も腹部の緊張は劇的に取れ、週一回の施術を1か月継続したところ過敏性腸症候群からくる下痢や吐き気だけでなく、生理痛も改善しました。受験生なので緊張が強い状態が続き、月に一回くらいの施術を受験が終わるまで継続され、終わった後はみえていません。

◇考察

過敏性腸症候群など下痢や腹痛、コントロールできない便意でおみえになる場合、ほとんどの方が「薬が効かないから」と鍼灸院を探されます。なぜ効かないのか?東洋医学的に考えてみると、「胃腸に異常がないから」なんです。緊張が原因で胃腸がうまく働くことができず、下痢吐き気などが出ている場合、病の場所は胃腸ですが、原因はストレスからくる緊張、東洋医学的には「肝か心」のどちらかである場合が多いです。こういう場合は胃腸のツボは使わず、緊張を緩めるために肝か心のツボを使うと、胃腸の働きも改善して症状が消失するのです。

また、病名は過敏性腸症候群ですが、これも緊張が強すぎることによって自律神経が乱れて、それが長期にわたってくることで胃腸症状として出ていることが殆ど。
風邪は万病の敵と言いますが、今の社会では「ストレスが万病の敵」なのかもしれません。

★施術回数 集中して4回 その後辛いときに月に一回程度、受験が終わるまで

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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