◆症状・経過
50代女性。元々ピラティスを習っていたが、一年ほど前から肩関節の動きが悪くなり、病院に行くも画像診断で原因が分らず、痛みも無いため経過観察とされたそうです。そのまま症状は悪化も改善もしないまま一年経ち、どうにかならないかと来院されました。
◆見立て
整形外科的なテストと超音波エコーによる確認をしたところ、烏口上腕靱帯と棘上筋・棘下筋・肩甲下筋の軽い癒着が原因の可動域制限と判断して施術を開始しました。
また、肩関節の可動域が長期間制限されたことにより、中部~下部胸椎の動きが悪くなり、またそれに関連して僧帽筋下部がうまく使えなくなっていました。
◆施術
鍼によって血流供給部位の筋肉群を緩めて患部の血流を良くし、その後に、癒着部分を徒手療法により剥がしました。また、それに加えて、中部~下部胸椎と僧帽筋下部の動きを改善する徒手療法を3回ほどしたところ、可動域制限が改善しました。
◆考察
ピラティスにより無理な動きを繰り返しているうちに同じ所に負荷がかかり(この場合は烏口上腕靱帯とその周辺の筋肉群)、微細な炎症が慢性化した事がその部位の硬縮に繋がり、癒着したものと思われます。
また癒着により痛みが生じて肩の可動域が制限され、狭い可動域で一年以上過ごしたことで、中部~下部の胸椎の動きまで悪化していました。肩の動きは胸椎~腰椎までも関係しているためです。
この方の場合もピラティスで無理な事をした時に少し違和感や軽い痛みがあったと思うのですが、それを放置したことで慢性化してしまったのだと思います。
この症例を見ても分るように、痛みや違和感、可動域制限を放置すると、初期はその部位だけの痛みや硬縮が、長期間放置すると他の部位まで影響することが多いです。何でもそうですが、気になった症状は放置せず、お近くの病院や治療院で見て貰うことをおすすめ致します。調布にお住まいの方は春宵堂治療院に是非お越し下さい。