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内臓系の症状

6年間続く原因不明の「気管支喘息」①見立てと施術方針

◇経緯

50代の女性。6年前に胸の重苦しい感じ、息を吸いにくい感じが出現し、病院を受診して「気管支喘息」と診断された。それ以来、いろんな薬剤を試しつつ、町医者から大学病院に転院し治療を継続しているが悪化の一途をたどっており、ここのところは医師も打つ手がないような感じに見受けられるほどとのこと。あまりに症状が酷くなってきて、不安になり、咳と痰、気道の狭さがどうにかならないかと来院されました。

現状、常に気管支が狭い感じがしてぜいぜいするが、特に①暑さと湿気②寒いとき③食後や横になった時に痰と咳が増えて症状が悪化する。

逆に、暑くも寒くもない過ごしやすい気温(18度位~25度位)で湿気が少ない時は痰も咳も少なくなるとのこと。週に一度運動しているが、運動中多少苦しいものの後が楽で喘息症状はマシになるとのこと。

喘息とは関係ないが、週に1回くらい急に寒気がして発熱する。また、左季肋部(さきろくぶ/左あばらの下あたり)に痛みが出ることが増えているとのこと。この痛みに関しては、咳が沢山出た後とストレスで悪化し、仕事などに集中すると楽になるとのことでした。

身体全体の観察

お身体を触った感じ、身体全体が熱く、緊張が強い部分と、弱っているところとの偏りがありました。
舌はピンク色っぽいのが正常ですが赤黒い。舌の苔は少し生えているのが正常ですが、無い部分も有り、また乾燥していました。口内の乾燥はご本人も自覚しているとのこと。

性格的には、子育てや仕事なども一生懸命やるタイプ。逆に、それによるストレスも強く、発症した頃は特に大変な時期だったとのこと。ストレスといっても、家事や育児が嫌なのではなく、一生懸命やって緊張がなかなか取れない、ということが身体にストレスとして反応が出ているようでした。専業・兼業主婦の方に多いように思います。

生活習慣としては、お酒が強く飲酒量も多いようで、また家事で睡眠時間も少ないとのことでした。

施術方針

熱と緊張を取りつつ、痰も処理していくようにツボを選択していきました。
週に一度は欠かさず来院され、次第に痰が減り、苦しさも波はありつつ改善傾向。
発熱の頻度が少なくなり、また左季肋部の痛みも出にくくなっていきました。
舌の色も黒味が減って明るい色になり、苔も薄く生えてきています。これは熱が冷めてきていることを示しています。

痰を減らすためにお酒も減らした方がいいこと、飲むお酒の種類についてもアドバイスをしたところ、ご自分でも、症状が悪化する種類のお酒、そうでもないお酒が分るようになったそうです。

また、家事で睡眠時間が少なかったので、心がけてたくさん寝るようにお願いしました。睡眠が短いことで、身体が熱に傾いてしまうからです。
この方の場合は熱を冷ましていかなければならないため、睡眠は大切なセルフケアの一つです。治療開始後症状が改善するに従い、睡眠時間が少ないと症状が悪化することに気が付かれたのも印象的でした。

◇まとめ

喘息は、肺の部分で起こっている症状ですが、この方の喘息の場合、ストレスからの緊張により、別の臓器からの影響で発症していると判断して施術しました。

この辺の東洋医学的な喘息についての考察は次のブログで解説しますが、簡単に説明すると、何事も一生懸命にやるという性格や、育児のストレス、睡眠不足などで熱が発生し、熱と飲酒によって痰が産生され、その痰を排出するため、肺の気を下降させる本来の動きが阻害されて肺の部分で気が上逆して咳が出ている、というわけです。

この方の場合、熱や緊張を取る施術で喘息とそれ以外の症状もおさまってきましたが、睡眠や飲酒という生活習慣を変えたことの効果も大きいといえます。
この方のように、治療を通じて自分の身体の変化を観察し、何が原因で症状が悪化し、何が原因で緩解するのかに気づけるようになる方は少なくありません。自分の身体と相談し、自分で健康を管理することが出来るようになるのも、東洋医学的な治療院ならではと言えると思います。(加齢などで体質が変化するので、気を付けることが死ぬまで永遠に同じというわけではないことに注意しなければなりませんが・・・)。

以上、今回は西洋医学的になかなか改善しない喘息のケーススタディをご紹介しました。
鍼灸治療は喘息も得意としていますので、西洋医学的になかなか改善しなくて不安だという方は、ぜひお近くの治療院に行ってみてください。京王線、調布近辺にお住まいの方は春宵堂治療院へお越し下さい。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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