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女性特有の症状

ケーススタディ|不妊症①経血が少なすぎる

長期間のピル服用を中止したあと、月経量が減る人は意外と多く見られます。
「ホルモンは正常」「子宮内膜も問題なし」。
それでも生理の量だけが著しく少なく、妊娠につながりにくい——。この“説明しきれない現象”は、東洋医学ではどのように理解されるのでしょうか。

今回のケースは、ナプキン1枚で足りるほどの少量月経が続き、出血がない周期すらあった30代女性
腹部の緊張、瘀血、血虚など複数のサインが重なり、ピル中止後に悪化した背景も含め、東洋医学的な病理を紐解きながら、妊娠に至るまでの経過を紹介します。

主訴・経緯~妊活のためにピルを止めたら…

30代前半の女性。妊活を始めて1年たっても自然妊娠をせず不妊治療を始めた。

ホルモン値に問題はなく、また人工授精の際も子宮内膜は問題ない。
だが経血が少なく、出血しないときもある。

経緯として、もともと生理痛が酷かったのと、PMSでメンタルが不安定など一か月の半分は体調不良だったそう。そのため、10代後半からピルを飲んでいた。

結婚後、妊活のためピルをやめたが、10代後半の頃と比べて生理の量が減った感じはしていたとのこと。多い日でも普通のナプキン一枚で事足りる量しか出ず、また2~3日くらいで終わってしまう。
また、だんだん生理痛も出現してきたので、痛み止めを服用してしのいでいる状況。

経血の性状としては、少ないときは茶色いおりもののようなものだけの時もあるし、多くても少量で赤くサラサラ。また、そういったものがダラダラと2週間ほど続くこともあるそう。

西洋医学的には対処方が無いといわれ、鍼灸でどうにかならないかと来院されました。

観察・施術~緊張か、瘀血か、貧血か?

お身体全体を観察したところ、お臍から下腹部にかけて、左右差は有るものの緊張が強く、また上腹部も結構緊張が強くて呼吸も浅そうな感じ。

脈も緊張が強いのですが、緊張に加えて瘀血もありそう。さらに、貧血のような弱い部分もありました。全身のツボの観察でも、緊張している所と貧血っぽい反応が見られます。

30代前半という年齢的に、本来は緊張が強いことが婦人科疾患の原因となっていることが多いですが、運動不足や体質などで虚弱であることが原因となっている方ももちろんいらっしゃいます。

この方の場合も可能性として半々だったので、まずは東洋医学的な貧血、血虚→緊張の順に数回アプローチ。すると、それなりに身体全体のツボや腹部の反応に変化がありました。
しかし、生理痛は軽減するのですが経血が増えません。

そこで、瘀血に対してアプローチしていったところ、経血の量が増え、生理痛も無い状態が継続して何回目かの人工授精で無事妊娠に至りました。

考察~何故経血が減ってしまうのか?

なぜ経血が少ないのか? または減ってしまうのか?
東洋医学的にはいくつか原因が考えられます。

① 何らかの原因で血虚(貧血)となり、子宮に血が集まらない

大量出血や栄養不足、体質的なもの。血液検査で貧血でなくても東洋医学的に血虚の場合もあります。

② 何か血の流れを妨げる原因があり、子宮に血が集まらない

気滞や瘀血だけでなく冷えや水も血流を停滞させ妨げます。ストレスや運動不足、冷えや食べすぎ飲みすぎなども原因として考えられます。

③ 子宮の中で瘀血が生じ、固まってしまうことで排出量が減ってしまう

原因は②と同じですが、それが子宮の中で起こっている。正常な血の居場所が狭い、或いは無い状態です。

この方の場合は、②と③両方の原因を持っていたと考えます。
それが長期化して部分的に血虚になっていたため、全体的に緊張と瘀血と血虚の反応が出ていたのだと思います。

最終的に瘀血の処置で経血量が増えましたが、その前に緊張を取る施術で生理痛が出なくなっていたため、生理痛と経血量の減少は別の要因だったことが分かります。

なぜピル服用後に経血が激減したのか??

実はピル服用をやめた後に経血が減る方は結構いらっしゃいます。なぜなのでしょうか?

まず前提としてピルを服用する目的が生理痛やPMSのことが多いですが、それはつまり、もともと緊張が強く、子宮周辺に気滞と瘀血があったことを示唆しています。

それを、ホルモンをコントロールすることで血の動きを無くして痛みを和らげていた。血の動きが無いというのは、東洋医学的には停滞させるということなので、その間に気滞や瘀血が常態化、あるいは悪化して、経血となるべき新鮮な血の居場所がなくなってしまった、ということが考えられます。

また、ピルを飲んでいる間に年月が経つと年を取っていきますから、その間に加齢とともに弱ってくるところがあって血虚になっている場合もあると思います。

単に血虚=貧血でしたら鉄剤や血を補う漢方で改善することもありますが、今回のように瘀血が原因の場合はいくら血を補っても経血は増えません。

この方の場合、子宮内膜の厚さに問題は無いのに経血量が少ない、という、現象から見ると貧血っぽいが検査では血が十分にありそうなケース。全体的にも、貧血とも瘀血とも取れる反応が見られたため、慎重に補う方からアプローチしていきましたが、結果的には血は十分にあるものの、瘀血が広範囲なため正常な経血の居場所がなく経血が減っていたであろうことが推察される症例でした。

現象は同じでも原因は人によってさまざま。原因によってアプローチが変わりますから、「生理の量が減ったらこのツボ」などどいうものはありません。

同じような症状でお困りの方は、ぜひお近くの針灸院に行って、原因を探ってみてください。調布の方、京王線沿線の方は、春宵堂治療院へお越しください。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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