春宵堂治療院 2025年11月の休業日のお知らせです。11月末から4連休をいただきます。

内臓系の症状

ケーススタディ|十年以上前から続く咳喘息

◇主訴・経緯

50代後半の女性。十数年前から、一年を通して断続的に酷い咳喘息が数週間続く時期があるとのこと。

西洋医学的な治療と吸入をしているが、その時少し改善するだけで治っていかず、しばらくすると自然に緩解して、また咳喘息となる。季節や気温、気圧など何が原因かは全く分からない。また一日の中でいつ出るかもよくわからない。寝ている時、緊張している時、疲れた時、いつ出るか共通点はないが、起床時に咳と白くて水っぽい痰が出るということだけは共通している。他の時に痰が出るかどうか、色が白いか黄色いかは時による。子供のころから運動習慣はなく、最近は階段や坂道を上ると息が切れる。客観的には、声がかすれて出しにくそうでしたが、ご本人に自覚がないそうでした。自己判断で麦門冬湯を飲んでみているが効果は有るような無いような感じ。

◇見立て

全身のツボだけでなく舌や脈、お腹など全体的に観察したところ、水気が足りないところと余っているところがばらばらにあり、冷えと熱も両方ある感じでした。また自覚的に風邪症状は無いものの客観的には風邪をひいている様でもあり、また全体的に弱っているようでもあり、更に脈が弱いところが見受けられました。

◇施術

東洋医学的な考え方ですが「風邪をひいている時には、主訴が何であっても風邪からアプローチする」先表後裏というセオリーがあります。この方の場合も、脈やツボの反応から風邪をひいている感じだったので、まずは風邪に対して施術したところ、呼吸が楽になったとのこと。脈なども風邪に関しては改善していましたが、まだ弱っているところが残っており、追加で補う施術をしたところ、更に呼吸が楽になったとのことでしたので初日は終了しました。その後、少し残る風邪の反応に処置するべき時は処置しつつ、補っていったところ、痰が減少して咳も収まっていきました。

◆考察

何か症状が改善すると、実は主訴以外にも辛いところがあったんだと自覚する方は多いのですが、この方の場合は主訴の咳喘息だけでなく、実は気道が狭く呼吸がし辛かったようです。しかし数年その状態が継続しており、日常的にそれを自覚していなかったのです。

また、自覚はないが実は風邪をひいていて、それが原因で別の症状が出ている方は実は多いです。例えば咳や喉の違和感、だるさや、酷いと関節の痛み、リウマチなども。東洋医学的な風邪は、皆さんが思っている風邪(発熱、喉の痛み、咳、鼻水、寒気など)よりもずっと範囲が広い。なので、気が付かない間に数か月間、或いは数年に渡って風邪をひいている方もいらっしゃるのです。

この方の場合、風邪の反応がなくなっても咳が出ているため、風邪とは別の要因も咳の原因になっている。その原因は、一つには東洋医学的な肺や腎臓の機能の低下で痰が生成され、それを排出しようとしている側面と、年齢的なものや運動不足も相まって弱っていることで、本来降下すべき気が上逆しているためだと考えて施術しました。

つまり、複合的な要因で咳喘息になっていたということです。詳しくは咳喘息のブログで書いておりますのでそちらを読んでみてください(風邪の治りかけの咳喘息に限定しての記事です)。

咳喘息についての東洋医学的考察

☆のどの症状に鍼灸!?

咳喘息だけでなく、風邪や疲労、ストレスなどによる喉の違和感に、実は鍼はとても効果を発揮します。ずっとイガイガする、何か痰が絡んでいる感じが継続する、詰まっている感じがする、声が出しにくい、など、西洋医学でも漢方でもなかなか効果が実感できないときに、針灸施術も一つの選択肢。調布や京王線沿線の方は是非春宵堂治療院へお越しください。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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