◇経緯・症状
今回は、ピルを服用しても治まらなかった「生理周期に伴う全身の痛み」についての治療記録です。
西洋医学的な検査では異常なしとされましたが、東洋医学的な観察を行うと、強い「緊張」と「熱」のこもりがみられました。
なぜピルを飲んでいてもPMSのような症状が一部残ってしまうのか?
そのメカニズムと、「繊細さん(HSP)」気質との関連性、そして鍼灸による改善経過について、鍼灸師の視点から解説します。
経緯・症状~原因不明の痛みと気分のムラ
20代後半の女性。中学生の時初潮を迎えたが、その時からずっと生理痛が酷く、薬を飲んでしのいできた。
社会人になってストレスがかかり、更に痛みが酷くなってきたため婦人科を受診、子宮内膜症や筋腫は見られず、卵巣にも問題はなかった。
しかし痛みだけでなく気分の落ち込みやイライラ、生理前の不眠なども酷かったため、ピル治療を開始。生理周期の出血はなくなり、下腹部の痛みは出なくなった。だが、毎月ちょうど生理かと思われる時期に全身に遊走性の痛みが走り、また気分のムラも残ったため、どうにかならないかと来院されました。
観察~運動不足と「繊細さん」気質
全身を観察したところ、緊張が強く熱がこもっており、また瘀血もみられました。この患者さんのように初潮から生理痛が酷い方は結構いらっしゃいますが、生理痛はほとんどの場合緊張が強いことが原因です。
緊張の原因は何かというと、運動不足の場合もあれば、生真面目など性格によるもの、家庭環境、あるいは学校の環境が緊張を強いている場合などさまざま。この方の場合小さい頃からインドアで運動不足なのと、友人関係で緊張することが多く、家以外安心できる場所がなかったとのこと。
ツボなどの観察の結果、アンテナが高く周囲の人や情報を人より敏感にキャッチしやすく、そのような性格・性質も相まってストレスとなり余計に緊張が強くなっているようでした。
いわゆる繊細さんと言われる性質を、程度は低いと思いますがお持ちだったのです。(繊細さんに関する記事もあげております 繊細さんと東洋医学)
施術~気滞と熱を取る
ピルによってホルモンの変動が抑えられ、生理による出血という現象が無いため、出血に伴う下腹部の気滞や瘀血の痛みはない。しかし、多少残るホルモンの変動によって全身の緊張や熱がこもり、それが遊走性の痛みや熱によるイライラ、不眠という症状を起こしていると判断して、気滞と熱を取る施術をしました。
この方の場合、緊張していた年月が長かったため、症状がなくなるのに半年を要しました。しかし、まじめに毎週通って下さり、最終的に痛みも含めてPMSの症状はほぼなくなりました。
今は年に何回か仕事のストレスなどでどうしても辛いときに来院されます。
考察~生理中のイライラ、暴飲暴食は気滞のせい
一般論として排卵から生理までの間は体温が上がります。それを東洋医学的に解釈すると、その間、血が子宮に集まり、その時に気滞が強くなり熱がこもる、となります。
気滞が強くなるとお腹が張ったりガスがたまったりしますし、肩こりや暴飲暴食などという症状が出る人もいます。また熱が強くなると、イライラや気分の落ち込み、火照り感や頭痛、睡眠障害などの症状が起きます。
そして生理が来て血が排出されると同時に体温も下がると、気滞も熱も取れてすっきりするわけです。
この時、瘀血があれば、排出がスムーズにいかず生理痛が出現し、半分以上の経血を排出しないと楽にならない、ということになります。
気滞が強くなると血が固まって瘀血となるため、経血が黒くドロドロになったり、ドロドロの血を排出するのにイメージ的には詰まって流れが悪くなるため、生理痛が酷くなるのです。
先ほどの「繊細さん」を例に挙げると、生理前により繊細になり、いろんなことに敏感になってしまい、生理後にそれが落ち着く人が多いのではないかと思います。
ピルを飲んでもPMSが一部残る場合がある
この方の場合は、ピルの服用により毎月出血しなくなったため、出血に伴う痛みはなくなったものの、上記のような生理周期に伴う緊張、つまり気滞と熱は残り、症状としては全身の痛みと気分のムラが残ったのだと思います。
この方の場合は、ピルの服用により毎月出血しなくなったため、出血に伴う痛みはなくなった。しかし、上記のような生理周期に伴う緊張、つまり気滞と熱は残り、症状としては全身の痛みと気分のムラが残ったのだと思います。
PMSに悩む人は本当に多く、今は高校生でもピルを飲んでいます。しかし、それでもこの方のように、PMSの一部が残る人は一定数いらっしゃるように思います。
PMS関連の悩みにこそ鍼灸治療
逆に、妊活でピルをやめた後に経血が激減したり、生理の様子がまったく変わっている人もいます。こういった、PMSでお悩みの方、ピル服用中でも体調が何か悪い方、ピル服用をやめてからの体調不良にも針灸治療は効果を発揮します。
婦人科でもなかなか解決しないPMSでお悩みの方は、ぜひお近くの鍼灸院にご相談ください。もし、お住まいが京王線沿線の方、調布の方は、ぜひ春宵堂治療院へお越しください。