春宵堂治療院 2025年11月の休業日のお知らせです。11月末から4連休をいただきます。

女性特有の症状

ケーススタディ|PMS~ピルを飲んでいるのに生理周期に出現する全身の痛み~

◇経緯・症状

20代後半の女性。中学生の時初潮を迎えたが、その時からずっと生理痛が酷く、薬を飲んでしのいできた。社会人になってストレスがかかり、更に痛みが酷くなってきたため婦人科を受診、子宮内膜症や筋腫は見られず、卵巣にも問題はなかった。しかし痛みだけでなく気分の落ち込みやイライラ、生理前の不眠なども酷かったため、ピル治療を開始。生理周期の出血はなくなり、下腹部の痛みは出なくなったが、毎月ちょうど生理かと思われる時期に全身に遊走性の痛みが走り、また気分のムラも残ったためどうにかならないかと来院されました。

◇観察と施術

全身を観察したところ、緊張が強く熱がこもっており、また瘀血もみられました。この患者さんのように初潮から生理痛が酷い方は結構いらっしゃいますが、生理痛は殆どの場合緊張が強いことが原因。では緊張の原因は何かというと、運動不足の場合もあれば、生真面目など性格によるもの、家庭環境、あるいは学校の環境が緊張を強いている場合など様々。この方の場合小さい頃からインドアで運動不足なのと、友人関係で緊張することが多く、家以外安心できる場所が無かったとのこと。ツボなどの観察の結果、アンテナが高く周囲の人や情報を人より敏感にキャッチしやすく、そのような性格・性質も相まってストレスとなり余計に緊張が強くなっているようでした。いわゆる繊細さんと言われる性質を、程度は低いと思いますがお持ちだったのです。(繊細さんに関する記事も挙げております 繊細さんと東洋医学 )

ピルによってホルモンの変動が抑えられ生理による出血という現象が無いため、出血に伴う下腹部の気滞や瘀血の痛みは無いものの、多少残るホルモンの変動により、全身の緊張や熱がこもる現象が、遊走性の痛みや熱によるイライラ、不眠という症状を起こしていると判断して、気滞と熱を取る施術をしました

この方の場合緊張していた年月が長かったため、症状がなくなるのに半年を要しましたが、まじめに毎週通って下さり、最終的に痛みも含めてPMSの症状はほぼなくなり、今は年に何回か仕事のストレスなどでどうしても辛いときにおみえになります。

◇考察

一般論として排卵から生理までの間に体温が上がりますが、東洋医学的に解釈するとその間、血が子宮に集まり、その時に気滞が強くなり熱がこもる人が多いです。気滞が強くなるとお腹が張ったりガスがたまったりしますし、肩こりや暴飲暴食などという症状が出る人もいます。また熱が強くなるとイライラや気分の落ち込み、火照り感や頭痛、睡眠障害などの症状が起きます。

そして生理が来て血が排出されると同時に体温も下がると、気滞も熱も取れてすっきりするわけです。この時瘀血があれば、排出がスムーズにいかず生理痛が出現し、半分以上の経血を排出しないと楽にならない、ということになります。気滞が強くなると血が固まって瘀血となるため、経血が黒くドロドロになったり、ドロドロの血を排出するのにイメージ的には詰まって流れが悪くなるため、生理痛が酷くなるのです。

先ほどの「繊細さん」を例に挙げると、生理前により繊細になり、色んな事に敏感になってしまい、生理後にそれが落ち着く人が多いのではないかと思います。

この方の場合は、ピルの服用により毎月出血しなくなったため、出血に伴う痛みはなくなったものの、上記のような生理周期に伴う緊張、つまり気滞と熱は残り、症状としては全身の痛みと気分のムラが残ったのだと思います。

PMSに悩む人は本当に多く、今は高校生でもピルを飲んでいますが、それでもPMSの一部が残る人は一定数いらっしゃる様にに思います。また、妊活でピルをやめた後に経血が激減したり、生理の様子が全く変わっている人もいます。それも東洋医学的に原因は様々。PMSでお悩みの方、ピル服用中でも体調が何か悪い方など、ピル服用中、服用をやめてからの体調不良にも針灸治療は効果を発揮します。そのような事でお悩みの方は是非お近くの鍼灸院にご相談ください。京王線沿線の方、調布の方は、ぜひ春宵堂治療院へお越しください。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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