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東洋医学や鍼灸について

HSP(繊細さん)と東洋医学② 鍼灸的対処法について

繊細さん(HSP)とは、そしてHSPに対する東洋医学的アプローチについて解説する2回目のブログです。

前回のブログはこちら>>HSP(繊細さん)と東洋医学①

◇東洋医学的にどう捉えるか

当鍼灸院にはさまざまなことに敏感な方が結構来院されます。
恐らく日本中の鍼灸院が同じ状況でしょう。

そして、敏感な方のなかには、「自分はHSPだ」と認識していない方も多いです。
認識していない場合でも、問診していると、以下のようなお悩みを抱えている方は多いです。

  • 光がまぶしい
  • 大きい音が苦手
  • 職場の人の反応が気になってストレス
  • 友人関係が辛い
  • 他人に気を使いすぎて疲れる
  • 強い香りで具合が悪くなる
  • 服のタグや縫い目が痛い
  • 不安感が強い
  • やたらイライラする

◇どんな臓腑が関わるか

東洋医学的には、「敏感」「繊細」になる原因は大まかに以下の3つと考えます。

①気滞
②火熱(虚と実と2タイプ)
③気虚

①の気滞と②の火熱はある意味臨戦態勢の状態です。
体内の防衛体制は一触即発で緊張していますから、ちょっとした刺激にも敏感になってしまいます。

そして、③の気虚は、臨戦態勢が長期化したことにより、体内の防衛体制が疲れてクタクタになっている状態。
弱って負けそうだからこそ、ちょっとした刺激にビクビクしてしまうような状態と言えます。

東洋医学では、上記の3つと関わる臓腑は、大まかに肝と心のどちらかであると考えます。

もともと胃腸が弱かったり、ストレスによって胃腸の働きが落ちて消化吸収が出来ず、栄養不足や貧血となって心神が養われなくなると、いろんなことに敏感になってしまうことが多いと考えます。(※1)

※1 東洋医学的に、肝が興奮するとイライラしたり喧嘩っぱやくなったりし、心が興奮すると不安感や動悸、焦燥感が出ると考えます。どのような症状が出ているのか、どのようなツボにどのような反応が出ているかで、どの臓腑に異常があるかを最終的に判断していきます。

◇なぜ緊張して敏感になってしまうのか!?

では、何が原因で臨戦態勢になってしまうのでしょうか??

東洋医学的にはもともとの体質(内因)と、生まれ育った環境(外因)が原因と考えます。

内因とは、もともとの体質として気滞が強い、熱体質である、また虚弱である、などです。

一方、外因は、家庭内不和や学校でのイジメ、職場でのDVやハラスメント、人とのコミュニケーションが苦手などだけでなく、寒暖差や花粉、極端な暑さや寒さ、戦争や感染症などの社会的なニュースなども人によってはストレスになり得ます。

もともとの体質(内因)に加えて、日常生活で受けるストレス(外因)による緊張が①の気滞(防衛体制の緊張)を生みます。
そして、気滞が長期化すると②の熱(一触即発の状態)となる。
気滞や熱が長期化すると、今度は弱ってきて③の虚の側面(防衛体制は疲弊してクタクタ)が出て来たりするし、もともと虚の側面(もともと兵士や兵站が少ないなど)があるから余計に気滞となりやすい、というメカニズムもあります。

また、診療していての経験則ですが、成長過程で緊張を強いられる環境に身を置いた経験があると、アンテナが高く敏感で緊張しやすい状態になってしまうケースが多いように感じています。

◇東洋医学的に何が出来るのか

では、東洋医学的にどういう対処法が出来るのでしょうか。
基本的には、緊張を緩めて熱を冷ましていく。足りないところは補っていくというアプローチが考えられます。

緊張を取ったり熱を冷ましたりすることで敏感さが軽減し、音や光が辛くなくなったり、漠然とした不安感がマシになったりすることはよくあります。

緊張がもともと強くても、集中的に施術することで一旦アンテナを下ろし、生活する中でまたアンテナが立ってきたらその都度施術する、という方もいらっしゃいます。
アンテナを下ろす際には短期間で複数回の施術が必要ですが、一旦下ろしてしまうと、その後に敏感になった際の施術は一度で済むことも多いです。

継続して施術をしていると、私の方でもその方の体質が把握できるため、例えばどの季節がどういう理由で苦手か、冷たいものを食べた方が良い方、ダメな方、お風呂の入り方など、日常生活で実践できる養生方法のアドバイスも可能です。

また鍼灸治療には、副次的効果もあったりします。
治療前は、「このままどんどん体調が悪くなっても、解決法がわからない。どうしよう…」という絶望感がさらに緊張に拍車をかけていたのが、治療で楽になるという「成功体験」を経験することで、「調子が悪くなってきたら鍼灸院に行けばいいや」という安心感から緊張が起きにくくなる、というケースです。

◇東洋医学はHSP対処法のひとつ

前回のブログ(HSP、繊細さんと東洋医学①)でも触れたように、敏感であることそのものをトレーニングによって治すことは困難なんだそう。
だからこそ、繊細な自分とどう付き合っていくか、というスキルを身につけることが大切です。

スキルとしては、一般的には、ジャーナリングやストレス・コーピング(ストレス対処法)が挙げられていますが、対処法の1つとして鍼灸施術を考えるのもよいでしょう。

「自分はHSPかも」「繊細&敏感過ぎて辛い」という方は、ぜひお近くの鍼灸院を訪れてみてください。調布近辺にお住まいの方は、ぜひ春宵堂治療院にお越しください。

本山 裕子

本山 裕子

鍼灸師 ‐婦人科系、内臓系、心のお悩みが得意分野です。

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