◆主訴・経緯
40代の女性。1か月ほど前から肩から左肩甲骨の内側に張りと痛みがあり、そのうち治ると思って2週間ほど放置していたが一向に改善しないため病院を受診。湿布を出され様子をみるがよくならないので、近所のマッサージに行くが、何故か症状が悪化。レジでのパートをしているが、仕事に支障が出てきたためお友達のご紹介で来院。仕事中も家事炊事中も痛みがあってスッキリしないとのことでした。
◆見立て
この女性の場合、ご自身では肩甲骨の内側が張って痛いとのことでしたが、結論から言うと実際に問題があるのは首の筋肉(中斜角筋)でした。
問診を詳細に取ったところ、痛みの出る1週間前に引っ越しの手伝いをして肉体的にかなり疲れたあと、数日して気がついたら普段はない肩甲骨の内側の痛みが出だしたということでした。恐らく肉体的な負荷により肩や首の筋肉が緊張し、結果として中斜角筋が特に硬くなったのだと思います。
今回の主訴である肩甲骨の内側に痛みが出ている場合、中斜角筋の緊張による肩甲背神経の絞扼が原因となっていることが多いので、鍼とマッサージで問題のある場所の緊張を緩めたら8割の症状が改善。
1週間後に来院してもらい症状の確認をしたところ、あと1~2割違和感が残っているとの事で、前回同様中斜角筋の緊張をとったあとに、胸郭の可動性をつけました。施術後、張りや痛み、違和感が無くなったので治療は終了という事になりました。
◆考察
斜角筋は、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋と三つありますが、このうち今回は中斜角筋が硬くなって、肩甲骨の痛みとなっていました。中斜角筋の付近を肩甲背神経が通っているのですが、この神経は肩甲骨の内側に分布しているので、その場所に痛みが出るのです。
肩甲骨の内側の痛みを訴える方は、デスクワークの方にも多い印象です。デスクワークで猫背となり頚部の筋肉が緊張することで、肩甲背神経が圧迫されてしまう方が多いのだと思います。
今回同様、自分が痛いと思っていたところとは別の場所に痛みの発生源(炎症など)がある事は結構あります。この方も痛いと訴えた場所(今回の場合は肩甲骨内側)のマッサージを受けても、原因は首の筋肉だったため、痛みが改善しなかったわけです。
筋肉や関節の仕組みが分かっていると、痛みが生じる動作を特定することで、痛みの原因を特定し、そこに的確な施術が行えます。
「私の肩の痛みに似ている」という方は、ぜひ調布の春宵堂治療院にお越しください。