【2024年9月の休業日】9月29日(日)は休業します。また、9月1日から営業時間をサマータイムから通常営業時間に戻します。

膝の痛み

ケーススタディ膝の痛み②|膝痛で正座が出来ない

◆主訴・経緯

右膝が痛く正座が出来なくなってしまったという、65歳の女性。身体を動かすことが好きで、毎朝1時間程度のウォーキング、テニス、軽登山をする。

ある時から正座をしようとすると右膝の奥に何かはさまっているような違和感を覚える。無理矢理に正座をしようとすると何とか出来ていたので、しばらく様子を見る事にした。

そうこうするうち、軽登山で普段より歩き過ぎた翌日から症状が悪化。近くの整形外科を受診すると湿布を出され様子見で終了し、2回目の受診でリハビリを勧められたとのことで、1ヶ月間週2回のペースでリハビリを受けるが、改善しないので知り合いの紹介で来院されました。

◆見立て

触診により、実際に問題があるのは膝裏にある膝窩筋という筋肉と膝裏の軟部組織の硬さであることが分かりました。

また立位でのアライメント評価(骨が正しい位置にあるかどうか鑑別するテスト)からも右膝は左膝よりも、大腿骨(ふとももの骨)に対して脛骨(すねの骨)が外旋し、外側に捻れていました。

つまり、膝関節の過外旋によって常に膝窩筋が伸ばされ伸長負荷がかかり、それによって筋肉の緊張が強くなっていたのです。分りやすく言い換えると、膝から下だけガニ股になることで、膝窩筋がいつも伸ばされている状態になっており、その状態で散歩や登山をすることで、更に筋肉に負担をかけていた、ということになります。

後ろから見た図です。

外旋すると膝窩筋が伸ばされます。

どういう時にこの痛みが生じやすいか、ですが、ジャンプや急な方向転換(バトミントンやテニスのように急に方向を変える動作)や、長時間の歩行やジョギングなどにより痛みが出て来ます。

◆施術

膝関節の過外旋により膝窩筋がつっぱり、痛みが出ていたので、大腿骨に対して脛骨が正常な位置に戻るよう、膝窩筋が働きやすくなる方向へ誘導する徒手療法をし、膝関節後方の軟部組織の硬さがあったので、鍼と徒手療法にて軟部組織の緊張緩和をし、膝関節を曲げる時に膝関節が内旋するように、他動運動と自動運動の補助を行いました。

合わせて自宅でのセルフエクササイズ指導も行い、週1回のペースで来て頂き4回の治療で完治しました。

◆考察

今回の膝窩筋の痛みは臨床でよくみられる症状ですが、歩行できるしものすごく困るという症状ではないため、すぐに医療機関に行く事は少ないようです。また病院に行ったとしても、レントゲンなどの画像診断には筋肉が硬くなっているのは写らないため湿布などを出されて終わる事も多く、数ヶ月以上症状が続いて、慢性化して来られる方がほとんどです。

筋肉や関節の仕組みが分かっていると、痛みが生じる動作を特定することで、痛みの原因を特定し、そこに的確な施術が行えます。「私の膝の痛みに似ている」という方は、ぜひ調布の春宵堂治療院にお越しください。

中村正佳

中村正佳

鍼灸あんまマッサージ指圧師 -関節の痛みを専門とし、研究、施術に励んでいます。

関連コラム

最近の記事

  1. 腰痛ケーススタディ⑩|仙腸関節のズレによる臀部から下肢にかけての痛みと痺れ

  2. ケーススタディ膝の痛み②|膝痛で正座が出来ない

  3. ケーススタディ|肩の痛みと腕の痺れ